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「───では、メイガル国立魔法学士のさらなる発展と、皇国の繁栄に!」
一泊置いて、全員が唱和した。
「皇国の繁栄に!」
周りの声が大きくて、ユーキが反応できなかったのは誰にも気付かれなかったようだ。
(なんか、独裁国家みたいだな……)
みたい、ではなく実際に皇族の独裁帝国なのだが、まだ知識がないユーキには追いつけない。
「では、各クラスに移動します。クラス担当教師に、ついて行くように──」
新入生は再びゾロゾロと、大移動を始める。
来た道を戻り、庭園を通過し、校舎へと。
ぼんやりと列について行く途中、ふいに後ろの生徒が話しかけてきた。
「あのっ、貴方……お名前、教えてくださる?」
「……俺?」
一瞬、誰に話しかけてるのかと思ったが、女生徒はユーキしか見てない。
女生徒は振り向いたユーキに見詰められ、かすかに頬を赤くさせた。
「ユーキ・……せ、セリア」
「セリアさんね、私はティン・ダロワズ。セリアさん、身長高いのね」
「ん」
前を向くと、今度は前を歩く生徒が振り向いた。
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