バトルの予感

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「はい、しっかり送り届けましたので、これで失礼いたします!」  遼ちゃん、あたしの家の玄関で、パパに九十度に頭を下げて言った。 ……遼ちゃんてば。  玄関で仁王立ちで待っていたパパもパパです。  ドア開けて、ビックリしたよ。もう一度閉めようとしちゃったよ……。 「遼ちゃん、ごめんなさいね、疲れているのにひよりが押しかけちゃったから……」  ママがパパの後ろから遼ちゃんに優しく声を掛けたけど。 「あ、いえ、それはぜんぜん。じゃあ、俺はこれで」  一言も話さないパパと、遼ちゃんの険悪な空気。あたし、おろおろ。ママはなんだか嬉しそうに、ひよちゃん、来て来てって手招き。 「ひよちゃん、パパがね、会社の人から美味しそうなお菓子頂いてきたの。遼ちゃん。今度、ゆっくり来てね」  ニコニコ顔で遼ちゃんに言ったママ、キッチンに入っていった。こんな空気に気付かないママは、いろんな意味で無敵です。  あたしは遼ちゃんをチラッと見たけど、遼ちゃん、パパと睨み合い。目は合わず。
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