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俺はぐいと睨み返したものの、後が続かず口ごもってしまった。そんな俺を見ておじさん。
「ひよを見ていりゃ一目瞭然だ。子供だ子供だ、と思っていたひよが、いつの間にか女になってた。お前、ひよに何教えてんだ?」
うわぁ。
全身鳥肌が立つ感覚に、内心震えた。ケンさんは、ひまりさんとは正反対だ。……ケンさん、何をどこまで分かってんだ?
必死に平静を装う俺は、低い声で言った。
「正直に言ったとして、おじさん認めてくれるのかよ」
「殴るぞ」
おじさん、腕組んだまま仁王立ちしているから、殴るつもりがない事は一目瞭然なんだが、すげー怒ってるのは、分かる。でも、ひよのことは譲れねえ!
暫し続いた沈黙を、ケンさんが破る。
「お前、教師だろ。認める認めないなんてのは論外だろうが」
うぐ。
もっともな正論に二の句が継げずに詰まってしまった俺におじさん、畳みかける。
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