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私が初めてキャベツとして葉を広げたとき、これっきりでいいと思った。
毎日毎日つらくてつらくて、早く誰かが鋭い鎌で私を刈り取ってはくれないかと、懇願しながら過ごしていた。雪の下でもずっと。もう二度と生まれたくないって思ってた。もうこれっきりで勘弁してほしかった。
小さな男の子が、日よけの帽子を被って、私を刈り取ってくれたときは恋をしそうなほどうれしかった。彼のおばあちゃんが私を細かくちぎって、くたくたになりそうなほど煮込んでポトフにしてくれた。やっと終わる。口、舌、喉、胃、腸、そして下水を旅して、どこかにたどり着いて、するとまたここに帰ってきた。土の中からまたキャベツになって、晴れ渡る空に絶望した。男の子は立派な男性になって、「大きくなれよ」と農薬を撒いた。
私は一番外の葉に遺書を書いては脱いでいった。遺書は地面に溶けてまた私に遺書を書かせた。書いて、脱いで、溶けて、書いて、どこかのタイミングで鎌が来てここへ還る。誰か、私をキャベツ以外にしてくれる者があるなら、何にでもすがりたいと思った。鳥に食い破られても、虫に風穴あけられても、嵐に飛ばされても、泥棒に盗まれても。
葉の露が涸れることはなかった。私がこんなに悩んでいるのに、遠くに見えるあの山の樹海には毎日人が入っていく。説けない遺書を持って、どうせ次も人間に生まれてくるくせに。
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