前編

16/32
前へ
/59ページ
次へ
 かかってきた電話で帰ったことをよく詰られたが、あの雰囲気に耐えられる自信なんて今でもない。 (な、んで……?)  負い目だけでゲイでもない男が同性のそこを舐められるものなのか。訳が分からず、考える思考も愉悦に削がれてゆく。  面白味なんてないだろうに、深山が気持ち良さそうにするたびに肌へキスをしてくるのも分からなかった。まるで感じていることを誉められているようだ。 「ッ、ぁああ……っ」  ゾクゾクとした快感が一気に背筋を駆け抜け、濡れた声が室内に甘く響く。 「アァァ……、ぁ、ンッ」  自分でも聞いたことのない、甘ったるい声が嫌で口を手で塞いだ。だがすぐに浮橋にその手を掴まれて、ジュブジュブと尿道を甘く擦られる。  弓なりになって喘ぐ深山は、抵抗する術を持たずにただされるがままに泣かされ続けた。もうイキたくてイキたくて、涙が溢れてくる。  胸の突起を舐められながらクリップを弄られ、一段と甲高く深山の声が蕩けた。 「……クソ、っ、……こみてぇ……」  苦し気な声が聞こえた気がした。目を開ける余裕がなくて、浮橋の下でただ身悶える。  首筋を強く吸われて、濡れた吐息が何度も気持ちがいいかと尋ねてきた。バカみたいに首を縦に振り、ほとんど泣きながら浮橋にイカせてくれと頼む。     
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2616人が本棚に入れています
本棚に追加