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ラ・ロに連れて行ってもらい、そこで彼に打ち明けられた。嬉しかった。こんな綺麗な存在が自分と近しい存在でいてくれること。それを打ち明けてくれたこと。本当に嬉しかった。
今ではオネエ全開のマスターとも仲良くなり、色々相談をさせてもらっている。
「ねぇ、千鳥。どうして俺のいるところ分かったの?」
「……」
「千鳥?」
「浮橋、いつも女の子と別れる前は大抵このホテルで会ってたから。部屋に入れないんだよ。飽きると」
少し前を歩いてこちらを見ようとしない千鳥に、深山は自嘲気味に笑った。そうか、とだけ答えて千鳥の後ろをついてゆく。確かに最近は、散らかっていると言われて部屋には呼ばれなかった。そもそも、連絡が取れたのも久し振りだ。
悲しくないと言ったら嘘になる。だが、今は自分を心配してくれて待っていてくれた千鳥に感謝しかなかった。
「……それで、浮橋にはなんて?」
「千鳥が言ってた通り、手紙にしたよ」
深山はいざとなったら口下手だから、手紙で別れを告げた方がいいと前々から千鳥に言われていた。
浮橋は口が巧みだ。上手く丸め込まれて都合のいい関係になるのだけは避けるよう、何度も何度も注意された。
徹底的に浮橋を断った方が傷も癒えると言われたので、実は先日千鳥に付き合ってもらってスマートフォンの電話番号を変更してある。
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