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大学は同じでも学部が違えば会うこともない。落ち着くまでは心配だから一緒にいようとまで言ってくれて、明日から千鳥のアパートに短期間だが世話になる予定だ。ちょうど更新時期が来ていて、どうしようか迷っていた。
医学部の千鳥は引っ越したばかりで、よかったらルームシェアしないかとまで言ってくれている。さすがに住居までは申し訳なかったので断ったが、何から何まで千鳥には世話になりっぱなしだった。
大通りから一本奥に入った道を少し進み、雑居ビルの地下にラ・ロはある。
「あら、二人とも久しぶりね~。いらっしゃい」
短髪を真っ赤に染めた、細身の男性が笑顔で迎えてくれた。ぴっちりとしたシャツと黒のレザーパンツ。これにはマスターなりのこだわりがあるらしく、いつもこういった格好だ。
店内は案外広く、今日は土曜ということもあって人も入っていた。
千鳥と二人、カウンターに並んで酒を注文する。
「やだ、ミヤちゃん目が赤いじゃない。どうしたの?」
「マスター」
「いいんだ、千鳥。……ちょっと、フラれちゃって」
「もしかして、前に言ってたノンケの彼氏?」
「うん。やっぱ、女の子がいいって」
直接そう言われたわけではないけれど、一緒に住む計画まであるのだから同じことだ。
気遣わし気な視線が隣から向けられる。それへ笑って、マスターにギムレットを注文した。
「よーし! 今日は、私の奢りよ! じゃんじゃん、飲んでって」
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