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「だから、その、……部屋が汚い、とか」
「うん。ちゃんと片づける」
「家事なんてできないくせに。やって三日だろ。やれもしないこと、言わないで。人はそう簡単に変われないんだから」
「変われるさ」
「変われないよ」
「変われる。俺は、ミヤのためなら変われるよ」
語気を強めてくる浮橋に腹が立って、絶対に無理だと言い返そうとした。顔を上げて目が合った瞬間、二の腕を掴まれてグッと迫られる。
すぐそこに力強い眼。呑み込まれそうで、息を詰めた。
「ミヤのことだから、どうせこう思うんだろ? どうして、そこまで? どうして自分なんかのために? どうして、どうして? って。だから先に言っとく。俺は、自信がなくて不安そうな顔をしてるお前が可愛い。そんな自分が嫌で、どうにかしたいってもがいてるの知って、益々好きになった」
「……もがいてない。実際には、何もやってない。お世辞ならいらない」
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