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そう考えて先に枕を抱えるべく腕を伸ばしたが、枕を掴んだところで熱いものが襞を割って入ってきた。
息を詰め、潤滑剤の力を借りて奥へ奥へと進んでくる浮橋のものに意識を奪われる。
「痛いか?」
「く、苦しい……」
腹の奥が異物感で満たされていて、ハッキリ言って気持ち悪い。
しかし、その分冷静になれた。手を伸ばした先にあった枕を腕に抱え、なるべく顔を見られないように隠す。
「んっ?」
枕が、飛んだ。ポーンとベッドのはるか後方に投げられて、深山の腕の中が空になる。
「隠すなよ」
興奮と苛立ちの混ざった浮橋の表情に、反論しかけた口を素直に閉じた。もしここで、浮橋が萎えないためだと言ってしまえば、物凄く怒られる気がした。
「こっち抱えとけ」
そう言って腕を背に回すよう言われ、深山はそれに従う。角度が変わって腹の中が一瞬ゾワリとしたが、すぐに失せた。変な感覚だった。
(……?)
不思議に思っている中、ちっとも動く気配のない浮橋に気付く。深く長く辛そうに息を吐き出す声が傍で聞こえてきて、もしかしなくとも我慢していると知る。
息を詰めた状態で浮橋が顔を覗き込んできた。
自分の方が辛そうなのに深山を案じる浮橋の優しさが、今ここでハッキリと分かって戸惑う。本気で愛され、欲されている実感がいきなり湧いた。
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