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真剣な顔をしてカテーテルを挿入する浮橋に、深山も力を抜くことに努める。
だが、浮橋に屹立を触られれば否応にも感じてしまうのは、もはやどうしようもない。
「ミヤ、勃てんな」
「だ……って……」
だったら触らないで欲しい。愚痴を言ってしまいたいのを我慢して、萎えそうなことを必死に考えた。
淫猥な水音を立てながら、少しずつカテーテルが体内に入ってゆく。
管が入ってゆく様は、怖くて直視できなかった。顔を背けて目を閉じ、両手の拳を握って耐える。
「ン、っ」
コツン、とわずかに引っ掛かりを覚えて眉根を寄せた。それに気付いた浮橋から深呼吸するよう言われ、その通りにする。
深く息を吸い込んで吐き、力が抜けたのと同時にカテーテルが更に奥へ入ってきた。
「っ、な……に、なんか奥当たって……」
「もう少し、我慢して」
「え、え? ひぁ、っ……あ」
痛いようなそうでもないような、妙な感覚。どうしても無駄な力が入ってしまい、額には汗が滲む。
「痛いか?」
顔を覗き込んでくる浮橋と目が合い、そっと首を横に振った。ホッとした様子の浮橋は、小さく折り曲げたカテーテルの先をダブルクリップで留め、ゴム手袋を外す。
「頑張ったな」
汗を拭うように髪を撫でられて、深山は小さく頷いた。我ながらよく恐怖に耐えた。
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