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後編
柔らかくも膨らみもないのに何が面白いのか、ツンと尖った突起を舌先で転がして吸ってくる。薄く色づくだけだった突起も念入りに舐め転がされて、腰が揺れてしまうほどの愉悦を寄越された。
腹が熱い。下肢が震える。赤い鬱血が全身に散り、これでもかと痕をつけてくる浮橋。それに困惑しながら、深山はいつ彼のものを勃たせればいいのか分からなくなっていた。
妙に楽しそうな浮橋はウキウウキと遮るのを憚れるほどで、結局彼が上から退いてサイドボードに手を伸ばすまで何もできなかった。
ボードの上に置いてあったボトル入りの潤滑剤を見て、上半身を起こす。
「浮橋、ちょっと待って」
「止めねーぞ」
「そうじゃなくて、先に口でするよ。勃たせない……と」
その先、続くはずだった台詞は掻き消えた。
大きく目を瞬き、首を傾げる。周囲を見渡してモニターにAVでも映っているのかと思ったが、大画面は黒いままだ。
だとすると尚更不思議で、深山は大変真面目な顔をして真剣に疑問を口にした。
「……なんで、勃ってるの? まさか、媚薬とか飲んだ?」
そこまでしなくてもと思っていると、目の前で物凄く重いため息をつかれる。額を押さえる浮橋に、深山は益々分からない顔をした。
「あのなぁ……。俺、さっきも冷水浴びて沈めたんだぞ」
「何を?」
「ナ・ニ、を!」
「え……っ? な、なんでっ?」
「なんでって……」
「俺、男だよ?」
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