死が分かつまで

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 しっかりと抱き留めた。その時肩にじりりと焼けるような痛みが走った。  「うあぁつ」  白亜が噛んだその傷は熱を持ち、まるでそこから全身が朽ちていくような痺れが身体に広がった。  「……で、…すか?」  「んっ」  「信弘さん」  「はくあ?か」  「どうかしたのですか?」  そこには優しく微笑む白亜がいた。山のふもとで出迎えられて、それからの記憶がない。肩口に違和感を感じそこに手をやると、まるで火傷のあとのようなケロイドができていた。  「いや、明日は畑の草むしりをしようか」  「はい」  白亜が人の子でないのは薄々気が付いていた、出会ったあの日から髪も伸びることもなく。日に焼けることもない。山から下りることもない。白亜はこの山自身なのかもしれない。どうやって魚を釣っていているのかさえ知らない。何も聞く必要はないと草間は思っていた。この首の傷は自分が白亜のものだという印だろう。だとしたら幸せだ、誰かにこれほど焦がれられ、必要とされたことは今まで一度もなかったからだ。  「俺は何より白亜が愛しい」  「はい、承知しております」  「そうか、私はお前を抱くよ」  「ようやく」  白亜は心から嬉しそうに笑うと立ち上がった。  「湯を浴びてきます。少しだけお待ちください」     
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