共に生きる

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 振り返るとそこに半裸の白亜が立っていた。風呂桶の淵に手をかけて立ち上がりかけていた草間は驚いて風呂に身体を沈めた。水を跳ねる大きな音がした。  「大丈夫ですか?」  「いっ、いい。いいから」  心配そうな顔をしてそばに寄ってきた白亜が手を差し伸べてきた。白亜は浴槽の草間の身体に視線を落とすと慌てて目を逸らした。頬がほんのりと赤く染まる。下を向き少し困ったような表情を浮かべ、そして意を決したように顔を上げた。  「あっ、草間さん」  「違う、これは。白亜、そうじゃない」  「すみません。すぐに出て行きますから」  考えるより先に身体が動いた。草間は白亜の手を掴みぐいと近くへと引き寄せた。湯が跳ねて白亜の髪を、身体をしとどに濡らした。  「白亜、これからもそばに居てくれ、一緒に暮らしてくれないか?」  白亜は何も答えずただ何度も頷いた。  「白亜、もう休もう」  「もう少しだけ、こちらを片づけてから」  「明日にしないか?まだ寒い。今夜からこちらで一緒に眠ろう」  戸惑い下を向いてしまった白亜の手をとる。  「はい、草間さん」  「信宏だ」  「はい、信宏さん」  これからは白亜と共に生きる。名前しかしらない美しい青年を雪明りの中抱きしめて草間は眠った。
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