死が分かつまで

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死が分かつまで

 白亜と生活するようになってから草間の生活は変わった。食卓は豊かになり、日々は穏やかに流れた。まるで暖かい毛布にくるまれたような毎日の中、草間は悩んでいた。ただ寄り添い生きるだけで十分だと思っていた相手にそれ以上のものを求め始めた自分がいたからだ。  笑うその姿に湯上がりの上気した肌に欲情する。浅ましいと思っていても止められないのだ。白亜の美しい瞳に映る醜い己の欲望を嫌悪しても全てを手に入れたいという欲が日々積もってゆく。白亜はどう思っているのだろうかと聞くに聞けないまま月日は流れていた。  大の大人が二人生活するにはそれなりのものが必要にもなる。野菜や米、そして山や川から分けてもらった命があってもそれだけでは生きてはいけない。残された貯金は殆どない、なけなしの退職金は少しずつ減っていく。後何年生きられるのか、そして自分より若い白亜に何を残してやれるのか、そのことも草間にとっては心配の種だった。  「信宏さん?どうされました?最近ため息が多いような気がしますが」  「いや、そろそろ街へ下りないといけないなと思っていてな」     
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