第23話(3)

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 重圧が肩にのしかかり、和彦は深々とため息をつく。慰めか、励ましのつもりなのか、賢吾に肩を抱き寄せられた。 「やっぱり、行かないといけないのか……」 「オヤジが招待した以上、俺も口出しできない。それに花見の最中も、先生の側にいてやることはできない。挨拶ぐらいはできるだろうがな」  そもそも、花見会での自分の役割すら把握できていない和彦だが、賢吾の言葉に驚く。建前上はどうあれ、賢吾が当然側にいてくれると思っていたからだ。和彦の戸惑いを表情から読み取ったのだろう。顔を覗き込んできた賢吾に髪を撫でられた。 「まだピンときてないだろうが、しっかり頭に叩き込んでおけ。――総和会という枠の中にあって、最上位にいるのは会長だ。俺は、総和会に名を連ねる組の組長。立場の違う男が、オンナを共有している。この際、父子であることは関係ない。より大きな力を持つほうが、公の場で自分のオンナだと主張できるということだ」 「正直、総和会のような組織を束ねている人が、男の……愛人の存在を明らかにしたところで、マイナスイメージにしかならないと思うんだが」     
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