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「……ああ、だからテレビでよく聞くのか、総和会の名前を。十一の組の厄介者を引き受けていたら、そうなって当然か」
「もちろん、迎え入れた経緯によって、扱いは全然違う。使える人間は優遇される。将来、総和会の幹部になるかもしれないしね」
さすがに、長嶺組の組長を父親に、総和会の会長を祖父に持つサラブレッドだけあって、千尋は詳しい。
千尋の話につい聞き入ってしまった和彦だが、自分が本当は何を聞きたかったのか思い出す。
「それで、ぼくが召し上げられる云々というのは……」
「先生、特殊技能の持ち主じゃん」
「特殊技能……。ああ、医師免許のことか」
「普通の病院に勤めていて、裏でこっそりと協力する――させられる医者はいるんだけど、先生みたいに、ずっぷりと組の事情にハマり込む人はなかなかいないんだよ。つまり、貴重。しかも先生、美容外科医だし。利用価値抜群」
こうもはっきり言われると、腹が立ってくる。
「しばらくは、総和会が長嶺組に借りを作る形で、先生に仕事させるかもしれないけど、そのうち――と俺は心配してるんだよ。そんなことになったら、先生と今以上に会えなくなるし」
「……お前の心配はそっちか」
「でも、規約だと、先生はうちの組でも部外者扱いになるのかな」
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