第24話(1)

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 今夜は、中途半端に電話を終わらせないと決心していた。佐伯家の動向を知るためにはどうしても、里見は必要だ。住む世界が違い、和彦の味方であると確信が持てない以上、里見を共犯者にするのはありえないし、そうするつもりもない。ただ、少しだけ手を貸してほしかった。  長嶺組の男たちには一切悟られないよう、佐伯家に対する対抗策を自ら講じるために、里見ともう一度会うことも仕方ないと思っている。  甘い感傷から、こんなことを考えたのではない。長嶺組と佐伯家との接触を避けるために、自分だけが事態を把握して動くのが最善だという結論を出したのだ。  街灯に照らされる道の先に、一際明るいコンビニが見えてくる。ほとんど小走りとなった和彦は、一台の車も停まっていない駐車場を横目に、公衆電話に駆け寄った。  受話器を手に、すっかり覚えてしまった番号を押す。呼び出し音を聞きながら、短く息を吐き出す。ふいに呼び出し音が途切れた。 『思っていたより早く、電話がかかってきた』  里見は、相手が和彦だと確認しないで話し始める。こんな時間に、公衆電話からかけてくる相手は和彦ぐらいしかいないのだろうが、それでも警戒心がなさすぎではないかと、少しだけ心配になる。 『――わたしが、連絡用の携帯電話を買おう。それを君が使えばいい。知りたいことがあれば、いつでもメールなり、電話をしてくるんだ。そうすればわたしは、佐伯家の動きについて教えてあげられる』 「せっかちだ、里見さん……」     
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