7839人が本棚に入れています
本棚に追加
/2987ページ
いまさら三田村に対して、賢吾との情交の後始末を任せることを恥らっても仕方ないのだ。この男は、もう何度も和彦の体にそのために触れている。機械的な手つきは、和彦のささやかなプライドを守ってくれさえする。
なのに今は、耐えられなかった。きつく抱き締めてくる腕の強さや、髪を撫でてくる手の優しさを知ってしまうと――。
こちらに背を向けている三田村に対して、さらに和彦も背を向けて自分の下肢の汚れを簡単に拭う。とりあえず、マンションに帰りつくまで不快さに耐えられればいい。
片足だけ脱がされていたスラックスと下着をなんとか穿いたが、それだけで足元がふらつき、息が乱れる。解放されていない欲望が出口を求め、体内で暴れている。
「――先生」
すべてを察したようなタイミングで三田村に呼ばれる。和彦が振り返ると、いつの間にか三田村がこちらを見ていた。
「ひどい格好だ」
そう言って片手を差し出され、引き寄せられるように和彦はその手を取っていた。ぐいっと強い力で引っ張られ、三田村の胸に受け止められた。
「俺にしてもらいたいことは?」
ハスキーな声をさらに掠れさせて三田村に囁かれる。和彦は目を見開いて、無表情の三田村を凝視してから、こう告げた。
「……ぼくの、後始末を……手伝ってくれ」
最初のコメントを投稿しよう!