第3話(3)

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 いまさら三田村に対して、賢吾との情交の後始末を任せることを恥らっても仕方ないのだ。この男は、もう何度も和彦の体にそのために触れている。機械的な手つきは、和彦のささやかなプライドを守ってくれさえする。  なのに今は、耐えられなかった。きつく抱き締めてくる腕の強さや、髪を撫でてくる手の優しさを知ってしまうと――。  こちらに背を向けている三田村に対して、さらに和彦も背を向けて自分の下肢の汚れを簡単に拭う。とりあえず、マンションに帰りつくまで不快さに耐えられればいい。  片足だけ脱がされていたスラックスと下着をなんとか穿いたが、それだけで足元がふらつき、息が乱れる。解放されていない欲望が出口を求め、体内で暴れている。 「――先生」  すべてを察したようなタイミングで三田村に呼ばれる。和彦が振り返ると、いつの間にか三田村がこちらを見ていた。 「ひどい格好だ」  そう言って片手を差し出され、引き寄せられるように和彦はその手を取っていた。ぐいっと強い力で引っ張られ、三田村の胸に受け止められた。 「俺にしてもらいたいことは?」  ハスキーな声をさらに掠れさせて三田村に囁かれる。和彦は目を見開いて、無表情の三田村を凝視してから、こう告げた。 「……ぼくの、後始末を……手伝ってくれ」
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