第4話(1)

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 いきなり強く吸い上げられ、快感めいたものが和彦の胸元に広がる。思わず顔を背けてから、ドキリとした。廊下に通じるドアが開いたままなのだ。さきほどまでの千尋とのやり取りが、三田村の耳にも届いているのかもしれない。だからどう、というわけではないのだが――。 「千尋、お前早く、下に降りないといけないんじゃ……」 「だったら先生、早く感じて見せて」  顔を上げた千尋がそんなことを言い、容赦なく和彦の弱みを攻める。てのひらに、やはりまだ湿りを帯びた和彦のものを包み込み、性急に扱き始めたのだ。 「あっ……」 「オヤジが、今日先生を食い損ねたって言ってたんだ。だから、俺がありがたく、いただいちゃおうって――」  耳をベロリと舐められて、せがまれるまま千尋のほうを見ると、すかさず唇を吸われる。和彦は壁にもたれかかったまま、千尋の背に両腕を回していた。 「先生、少し痩せた?」 「環境の変化のせいでな」 「その変化って、俺とオヤジの存在も込み?」 「込みだ、込み。むしろメインだ」  首をすくめて笑った千尋に唇を舐められ、誘われるように舌を差し出した和彦は、探り合うように舌先を触れ合わせる。甘やかすように千尋の舌を吸ってやると、お礼とばかりに胸の突起を指の腹で押し潰され、次の瞬間には抓るように引っ張られる。 「……先生、もう濡れてきた」     
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