第4話(2)

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 胸元や腹部、腿や膝に丁寧に唇が押し当てられ、熱い舌で舐め上げられる間に、和彦はすっかり、次にどの部分に愛撫が与えられるのか、待ちかねるようになっていた。  反り返り、悦びの涙で濡れそぼったものを軽く扱かれてから、両足を抱え上げられて、大きく左右に開かれる。このとき危うく、目を開けて、〈ある人物〉の名を呼びそうになったが、その前に、熱く濡れた舌に和彦のものは舐め上げられていた。 「うああっ」  抑えきれない声を上げて、和彦は仰け反る。歓喜に震えるものは、相手の口腔深くに含まれ、湿った粘膜に包まれながら吸引される。 「はっ……、あっ、あっ……」  括れを唇で締め付けられながら、一層歓喜のしずくを溢れさせる先端を舌で攻め立てられると、満足に息もできないほど、気持ちよかった。  何度となく賢吾と千尋と体を重ねているが、和彦は自分からこの愛撫を求めたことはない。感じすぎて乱れる自分を見られたくないからだ。裏を返せば、こうされるのが好きだということだ。 「く、うっ、あっ……ん、いっ――、あっ、やめ……」  口腔深くに呑み込まれたかと思うと、ゆっくりと口腔から出され、また呑み込まれていく。ほんの数回、そうされただけで、絶頂に追い上げられていた。 「ふっ……」     
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