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「必要な道具は至急用意させます。大掛かりな手術じゃない限り、ここから動きたくないという要望があったものですから、多少の不便はご勘弁ください」
「ぼくが我慢して済むならいいが、特別な器具が必要なら、そうも言ってられないと思うが……」
「それは、先生が見立ててから判断しましょう」
車中で会話を交わすことはほとんどないが、和彦を案内する総和会のこの男は、単なる運転手ではないようだった。和彦より少しだけ若く見え、物腰は丁寧ではあるが卑屈さはない。そして、若さに見合わない静かな迫力がありながら、粗野さはない。雰囲気としては、若いビジネスマンそのものだ。
総和会には、二種類の人間がいると聞いた。厄介者として放り込まれた人間と、使える人間として送り込まれた人間。おそらく、中嶋は後者だ。
昭政組の組員らしき男が玄関の前に出迎えとして立っており、スムーズにエントランスへと入ることができる。そこから部屋に上がるまで、会話はなかった。
この空気は苦手だと思いながら、和彦は首筋を撫でる。緊張感というより殺気立っており、ピリピリと神経を刺激してくる。
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