第5話(4)

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「車の中で、というわけにもいかないだろ。ぼくの部屋となると、もっとダメだ」  和彦がちらりと笑いかけると、三田村の手が頬にかかり、車の中ではできなかった濃厚な口づけをじっくりと味わう。体に触れられたことがありながら、三田村と唇を重ねたのは今日が初めてだった。だからこそ夢中になる。  舌を絡ませながら、互いの唾液の味を覚える。口腔を舌で舐め回され、感じる部分を探り当てられて、涙ぐむほど反応してしまう。  三田村の愛撫は丹念で、優しかった。和彦の肌に痕跡を残さないよう配慮しているのがわかり、着ているTシャツを脱がされながら胸元に唇が這わされ、たまらず和彦は三田村の頭を抱き締める。  和彦の意図がわかったのか、ようやく三田村がきつく肌を吸い上げ、ちくりと微かな痛みが走る。そうやって肌に、鮮やかな鬱血の跡を残されていく。  硬く凝った胸の突起を吸い上げられ吐息をこぼすと、誘われたように三田村が顔を上げ、唇を触れ合わせるだけのキスを繰り返す。  このまま穏やかな愛撫が続くのかと思ったが、長嶺父子だけでなく、三田村もやはり激しかった。 「ああっ」  両足を抱えられ、左右に開かれる。そこに三田村の頭が潜り込み、和彦のものはあっという間に熱く湿った粘膜に包まれた。     
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