第5話(4)

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 きつく吸引され、濡れた舌が絡みつく。むしゃぶりつくという表現が頭に浮かぶほど、三田村の愛撫が激しくなる。性急な愛撫に否応なく官能を高められながら和彦は、体で感じるだけでなく、こんなにも求められていたのだと、心でも悦びを感じていた。 「ふっ……、あっ、あっ、んあぁっ……」  身をしならせながら和彦は、自ら愛撫を求めるように三田村の髪に指を差し込む。すると三田村が、一度和彦のものを口腔から出し、打って変わった丁寧さで和彦のものに舌を這わせ始める。  頭を緩く左右に振りながら、和彦は声を上げる。透明なしずくが滲み始めた先端に唇が押し当てられ、微かに濡れた音を立てながら何度も吸われると、ビクビクと腰が震えてしまう。そしてまた、口腔深くに呑み込まれていた。 「はあっ……、は、あぁ……、い、い。気持ち、いい――」  三田村の口腔によって、和彦の欲望は高められ、悦びのしずくを滴らせ、溶かされる。括れを唇で締め付けられながら、根元から指の輪で扱き上げられると、たまらず誘うように腰を揺らしていた。 「……先生を何度も抱いてきたような、そんな錯覚に陥るときがある」  和彦のものの先端に舌を這わせながら、三田村が言う。 「組長や千尋さんに抱かれる先生を見たり、声を聞きながら、いつも考えていた。俺なら、先生をどんなふうに感じさせてやれるか。……二人に嫉妬はしなかった。俺の欲望をそのまま忠実に実行してくれていると感じていたからな」     
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