第5話(4)

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 死を覚悟したセックスは、麻薬じみた快感を味わわせてくれる。どうせ奪われるのならと、命を削ることすら惜しまない激しさのせいかもしれない。  三田村と唇と舌を貪り合いながら、和彦は水音を立てて腰を前後に揺らす。すると三田村の手が尻にかかり、下から強く突き上げられる。湯に浸かっているせいで、簡単に浮く体が不安定なため、三田村の首に両腕を回してしがみついた。 「あっ、あっ、あうっ……」  普段は無表情で感情を表に出すことが少ない三田村だが、欲望は隠すことなく和彦にぶつけてくれる。  ベッドの上でさんざん絡み合い、求め合ってから、浴室に移動して体を洗っていたが、そこでも三田村に求められる。湯を溜めた広いバスタブの中で和彦は、三田村の腰に跨って繋がることで、男の欲望に応えていた。  繋がっている部分を指でなぞられ、和彦は腰をくねらせて三田村のものをきつく締め付ける。心地よさそうに三田村が目を細めたのを見て、胸が疼いた。  三田村のあごにうっすらと残る細い傷跡を舌先でなぞり、招き入れられるまま口腔に舌を差し込み、まさぐる。 「ずっとこのままでいたい……」  舌を解いてから和彦が囁くと、三田村も吐息を洩らすように応じてくれる。 「……ああ」 「すごく、体の相性がいいみたいだ」 「ああ、よく、わかる。厄介なぐらい、先生の体は具合がいい」     
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