第7話(2)

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「ああ、済んだ。スタッフ募集の広告を頼むことにしたから、来週、またちょっと顔を出すことになると思う」  歩きながら和彦が説明すると、三田村は微妙な顔となる。 「三田村?」 「普通の人間を雇うと、おおっぴらに先生について歩けなくなるな。若い美容外科医が護衛をつけるなんて、何も知らない人間に対して、只事じゃないと知らせるようなものだ」  三田村の口調はあくまで淡々としているが、つい和彦は、言葉の裏にある三田村の気持ちを深読みしてしまう。正確には、期待していた。  状況が許せば、三田村は自分の護衛を続けたいと思ってくれているのか、と。 「……クリニックを開業しても、どうせぼくは、あのビルからほとんど外に出ることはない。今ほど護衛は必要じゃなくなる」 「だったら俺は、用なしだな」 「送り迎えは必要だ。それとも若頭補佐は、単なる運転手なんて仕事はしないか?」  三田村は表情を変えないままじっと和彦を見つめてから、わずかに肩をすくめた。この男には珍しい、どこかおどけたような仕種だ。 「先生は意地が悪い」 「お宅の組長には負ける」 「……返事に困るようなことを言わないでくれ」  気持ちが解れるような会話を交わしながらビルを出て、来客用の駐車場へと向かう。     
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