第7話(4)

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「長嶺組の分家の幹部だ。そして刺した人間も、長嶺組の下部組織の人間だ。つまり、内輪揉めだ」  体を起こした賢吾が、内奥からゆっくりと欲望を引き抜く。息を詰めて苦しさに耐えながら、和彦の視線は自然に三田村のほうへと向いていた。  改めて考えると、異常な状況だ。和彦は、今この場にいる二人の男と関係を持っているが、一方との行為を見せ付けることも、それを見続けることも、本来ならありえない。なのにこうして現実に起こっているから、特殊な繋がりを三田村との間に感じる。  和彦がどこを見ているかわかっていながら、やめろとも言わずに賢吾が唇を首筋に這わせる。 「もともとソリが合わない者同士で、ここのところゴタゴタが続いて、うちの執行部が介入を始めたところに、今回の事件だ。もし、刺された幹部が死ぬようなことになったら、幹部を殺したほうの組織に絶縁処分を下さなきゃならん」 「それは本意じゃない、か……」  賢吾のものが引き抜かれた内奥に指が挿入され、蠢かされる。和彦は小さく声を洩らした。     
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