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「絶縁しても、組織として存続できる。だが、長嶺組や総和会という後ろ盾を失ったら、まずは商売はできない。そうなったら、組員たちの生活が危うい。俺は、面子は大事にするが、それは組織に属する人間がいてこその面子だ。一部のバカが勝手にケンカをやらかして、それで幹部が死んで、一方だけを厳しく処断したら、禍根が残る」
話しながらも賢吾は指を動かし続け、内奥から自分が注ぎ込んだ精を掻き出している。
「だから俺は、可能な限り死なせるなと言ったんだ。何事も、円満に片がつくほうがいいだろ?」
「円満……。あんたが言うなって言葉だな」
「先生の憎まれ口聞きたさに言ってるんだ。組長とは言っても、俺も可愛いもんだ」
自分で言うなと口中で呟いてから、和彦は賢吾と唇を重ねる。そっと唇を離すと、賢吾に囁かれた。
「――三田村も欲しいだろ、この場所に」
わざと湿った音を立てて内奥を指で掻き回される。ぐっと唇を引き結んだ和彦は賢吾を睨みつけるが、大蛇にはまったく効いていない。それどころか、楽しげに笑っている。
「今日は、お仕置きじゃないぜ? 先生に対するご褒美だ。先生も三田村も忙しい中、楽しむ時間を作ってやったんだ」
「だからあんたは、性質が悪いと言うんだっ……」
どれだけ和彦と三田村が密やかに関係を深めても、それは賢吾の許しがあってのものだ。そのことを忘れないよう、賢吾はこんな形で思い知らせようとしている。もちろん、和彦も三田村も拒めないのを承知のうえで。
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