第7話(4)

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 シャワーは後回しにして、さっそく新しい携帯電話から、中嶋の携帯電話に連絡する。 『先生ですか?』  コール音が途切れると同時に、急き込むように問われて面食らう。一瞬和彦は、電話をかけた先を間違えたのだろうかと思ったぐらいだ。 「あっ、ああ……」 『よかった。先生の携帯が繋がらないかもしれないと聞いていたんで、自宅のほうにかけさせてもらったんです。携帯の番号、変えたんですね』 「いろいろ事情があって。バタバタしていたから、君に知らせるのが遅くなったんだ。そのせいで手間をかけさせたみたいだな」 『いえ。こっちの事情で電話をかけておいて、手間なんて……』  やはり、中嶋の様子がおかしい。和彦は率直に尋ねた。 「中嶋くん、どうかしたのか? なんだか声の調子がいつもと違う――」 『先生っ、頼みがありますっ』  どうやら中嶋は切迫した状況にいるらしい。 「……ぼくで相談に乗れることなら……」 『先生が、長嶺組や総和会にとって大事な医者なのはよくわかっています。だけど俺には、先生しか心当たりがないんです。――診てほしい人間がいます』  和彦は眉をひそめ、慎重に言葉を選びながら答える。     
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