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和彦の顔を見つめたまま、賢吾はどこか楽しげに、たっぷりの毒を含んだ言葉を鷹津に向けて垂れ流す。ただ、大蛇を潜ませた目は、こんなときでも静かだ。賢吾は、鷹津と本気でやり合っているわけではない。弄しているだけだ。
抵抗をやめた和彦の唇を賢吾がそっと吸い上げ、囁いてきた。
「――お前は、誰のオンナだ? お前が気にするのは、お前を飼っている男の反応だけだ。あとは、誰が何を言おうが、傲然と顔を上げてろ。お前の価値は、俺が決める。……先生は、とびっきりだ」
ズキリと胸の奥が疼き、強い欲情が湧き起こる。うろたえる和彦を煽るように賢吾が唇を啄ばみながら、ベルトを外し始める。あやすように甘く優しい口づけに酔っている間に、スラックスと下着を脱がされそうになる。さすがに我に返って身を捩ろうとしたが、賢吾が意地悪く笑った。
「他人に見られるなんて、慣れてるだろ、先生。ただ、見ているのが刑事というだけだ。どうしようもない最低の刑事だけどな」
賢吾の煽りにすかさず鷹津が乗る。
「……それ以上続けると、二人とも警察署に引っ張るぞ」
「公然猥褻でか? そりゃ、大手柄だな、鷹津」
和彦はソファに押し倒され、無造作にスラックスと下着を奪い取られる。このとき靴も脱げてしまい、思わず視線を向けようとしたとき、鷹津と目が合った。
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