第9話(3)

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 賢吾の熱い手にいきなり和彦のものは握り締められて、容赦なく扱かれる。呻き声を洩らした和彦は、咄嗟にソファの端を掴んだ。  片手が胸元に這わされ、すでに興奮のため硬く凝った胸の突起をてのひらで転がされる。片足を押し上げるようにして覆い被さってきた賢吾にベロリと舐められてから、熱い口腔に含まれると、吸い上げられていた。 「あっ……」  扱かれ続ける欲望の先端を、指の腹で擦り上げられる。ビクリと腰を震わせた和彦が唇を噛むと、腿から尻にかけて賢吾に撫で回された。 「――思い出すな。初めて先生を抱いたのは、ソファの上だった。あのときも、俺たちの行為を、人が見ていた」 「人が嫌がっているのに、お構いなしなのも、同じだ」  すでに乱れた息の下、和彦が応じると、手荒な愛撫によって身を起こした欲望の形を、賢吾になぞられる。 「嫌がっている、か」  くくっと声を洩らして笑った賢吾が片手を伸ばし、自分が飲んでいたウイスキーミストのグラスをソファの足元に置く。そのグラスの中から氷の粒を一つ摘まみ出すと、和彦の胸元に落とした。  冷たさに身を強張らせていると、胸元に顔を伏せた賢吾が氷の粒を唇に挟み、肌の上に滑らせる。冷たさと、性的な興奮に、ゾクゾクするような感覚が和彦の背筋を駆け抜ける。  すぐに氷の粒は溶け、肌に残った水を賢吾が舐め上げる。     
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