第9話(3)

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「あのときと違うのは、俺は、先生相手の前戯の手を抜かないってことだな」  氷をもう一粒摘まみ上げようとした賢吾が、ふと鷹津のほうを見る。立ち尽くしている鷹津に対して、賢吾が言葉をかけた。 「座ったらどうだ? どうせ公然猥褻で捕まえるにしても、もう少し盛り上がってからでも遅くないだろ」  鷹津が憎々しげに賢吾を睨みつけ、同じく激しい眼差しを和彦にも向けてくる。こんな場面を見られて、困惑し、羞恥していたはずの和彦だが、負けずに睨み返していた。それが、鷹津を決心させたらしい。 「……ああ、つき合ってやる」  鷹津が乱暴にソファに腰掛けると、それが合図のように、和彦は賢吾にあごを掴まれ、深い口づけを与えられた。  賢吾は再び氷の粒を唇に挟み、熱をもって疼いている胸の突起に擦りつけてくる。氷が溶けると今度は、賢吾の熱い舌に弄られてから、きつく吸い上げられる。 「あっ、あっ……」 「こっちに氷を押し当てたら、もっと早く溶けそうだな」  そう言って、賢吾が次に氷の粒を押し当ててきたのは、内奥の入り口だった。冷たい感触が内奥に押し込まれ、和彦が声を上げて腰を震わせているうちに、あっという間に氷は溶けてしまい、すかさず次の氷の粒が押し込まれる。今度は、一粒ではなかった。     
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