第9話(3)

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 ウイスキーでいくらか溶かされ丸みを帯びた氷の粒が、挿入された指が蠢くたびに、繊細な襞と粘膜を強く刺激する。 「ああっ、あっ、んくうっ――」  革張りのソファの上で、和彦は身悶える。氷の粒を呑み込まされていながら、たまらなく体が熱かった。  物欲しげに賢吾の指を締め付けていたが、指が引きぬかれると、溶けた氷が水となり、内奥の入り口からこぼれ出る。賢吾はもう一度、今度はさらに氷の粒の数を増やして、同じ行為を施した。  官能を刺激され、発情しきった内奥は簡単に氷を溶かし、今度は、燃えるほど熱いものを欲する。  震えを帯びた息を吐き出して和彦がゆっくりと頭を動かすと、食い入るようにこちらを見つめている鷹津と目が合った。  やはり鷹津の目にあるのは、嫌悪と憎悪だ。だが和彦は、鷹津からそれらの感情を引きずり出している今の状況に、奇妙な高ぶりを覚えていた。自分が嫌悪している男が、やはり自分に嫌悪の情を抱いているというのは、一種の感情の交流であり、繋がりだ。  ある意味、倒錯した交わりかもしれない――と思った次の瞬間、和彦は短く悲鳴を上げて仰け反る。  熱くなり、先端から透明なしずくを滴らせている和彦のものに、賢吾が氷を擦りつけてきたのだ。ツウッと根元から先端にかけて撫で上げられているうちに、氷が溶ける。     
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