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第4話(2)
すっかり不精が身につき、最近の和彦はバスローブをパジャマ代わりにして寝ている。寝返りを打っているうちにはだけて、脱げてしまうことが大半だが、広いベッドで手足を思いきり伸ばせる心地よさに裸という解放感も加わり、到底パジャマを着る気にはなれない。
もっとも、このベッドを選んだ相手は、和彦が一人寝で満足することにいい顔はしないだろう。
熟睡というほどではなく、だが目を開けられるほど意識が覚醒しているわけではない、非常に曖昧で、だが、いつまでもこの状態でいたくなるようなまどろみに、和彦はどっぷりと浸っていた。
そこに、さらに心地よさを与えるように髪に触れられた。まるで愛撫するように、髪の付け根から優しく、丁寧に。
体にかけたブランケットが除けられ、エアコンの柔らかな風が控えめに体を撫でていく。
ぼんやりとした意識ながら、さすがに和彦が異変を感じたとき、ベッドが微かに揺れて、和彦以外の誰かの重みも受け止めたことを知らせた。さらに、覆い被さられ、真上から覗き込まれている気配も感じる。
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