第4話(3)

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第4話(3)

 診るたびに、肌の露出が多くなっていくのはどういうことなのだろうかと、そんな疑問を抱きながら和彦は、並んでソファに腰掛けた由香の瞼を検分する。  別に胸に聴診器を当てる必要も、腕に注射をする必要もないのだが、由香はなぜか、キャミソールにショートパンツという際どい格好をしていた。最初の頃は、長袖の野暮ったいパジャマ姿だったというのに。  和彦の医者としての腕に対して、最初は不信感を露わにしていた彼女だが、数回ほど通ううちに、すっかり態度が変わった。今では、整形手術について相談されるまでになっていた。  昭政組組長の難波の愛人であることを、明け透けに話してくれる様子は、手管に長けた女のものというより、無邪気な子供を思わせる。そのくせ、和彦が訪問の回数を重ねるごとに強調されていく由香の体のラインは、見事に成熟している。  薄いキャミソールの上から、はっきりとわかる形のいい胸を一瞥して、和彦はそっと息を吐き出す。 「傷は化膿していません。ぼくの注意をよく守ってくれていたみたいですね」     
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