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ちょうどいい、その間に遊ぼう。
どうやらこのギルドにいる監視役を掻い潜ってこのギルドを出るのは、ほぼ不可能。
と、監視役もギスランもマスターも思ってる。
ギルドの構造上、ギルドを出るにはまず寮の前の警備、夜も開いているギルドの窓口や門の警備、最後にギルド施設を覆う結界、これらを越えなければならないみたいだ。
確かに骨が折れそう。だって、結界が尋常じゃないし。誰だよやったの。ま、たぶんギスランだけど。
そんな警備体制をしているから、ほとんどの人間が大丈夫だと判断している。
例外は、まだ見えてないここのサブギルドマスターかな。
ギスランの部屋でマスターと3人で話していたら、下の騒動をどうにかしたらしいサブギルドマスターが顔を出しに来た。
「はじめまして。ここのサブギルドマスターをしているレオリア・スクランドルという。短い間だが騒動は起こさないようによろしく」
「はじめまして、レイです。よろしくお願いします」
うん、やはりな。下での騒動で真ん中にいた奴と魔力が同じだ。
それに敢えて“騒動を起こすな”と忠告してくるとはな。疑ってるのかねぇ。
ここのサブマスターは、ギルドマスターのギスランより少し低いが、女にしては背が高い。
ギスランと同じように長い髪だが、色は黄緑。あ、黒縁眼鏡の中も黄緑の瞳だ。……てか、あれ伊達眼鏡か?
横でマスター同士で話している中、あまり見過ぎないようにマスター達に身体を向けつつ視界のギリギリに入れて観察していると、相手も俺を観察しているようだった。
決めた、やっぱりここにいる間にやろう。
どうせならこのサブマスターを騙すことを一番に考えて。
それなら、少しくらい大事に。
少し変更だが、目的を達成することに対しての支障はない。
この人たちを大いに巻き込むかもしれないが、今回はしかたない。
うんうん、タノシミだ。
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