閑話。

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------言葉 「お、あ、ま、ター」 それはギルド内の俺の執務室という名の自室で、嫌いな書類整理をしているときの出来事だった。 最近、大国からの依頼で森の調査中に少年を発見した。 人が生きるには向いていない、というかかなり過酷な環境の中で見つかった少年を預かってから、つまり見つかってから2週間ほど経った。 その少年は不可解な点が多く、大国での預言のこともあり、2週間経った今も監視が付いていた。 簡単な健康診断、魔力調査などを行ったが、身体的な異常は特になく、魔力も感知できなかったが未だ覚醒していないため、感知できないという結果になった。 実際に幼少期は体の内側に魔力は存在するが生命維持、成育のために大部分を消費し、魔力感知器に引っかからないという事例は多くあるため、特別おかしいということはない。 しかし、問題は身体面ではなかった。 身元が分からないのである。 この国、リクアチアでは国民全てを把握はしているわけではない。だが、身分のある者は届出が必要であるし、それなりの領地に住んでいる者たちは領主が名簿を作ったりしているらしい。 見つかった森の周囲の領地では、迷い込んだら魔物の餌食になる事はほぼ確実で、人の把握は必須という事で、名簿が作られているところが多かった。なのですぐ親が分かると誰もが予想していたが、その予想に反していくら探しても見つからなかったのだ。
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