え、いいの。

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「ただこの計画、私一人で実行するには効率が悪くて、もう一人男子が欲しかったの。そして君が入部した。ついにこの計画が始動できる!」  なんだかすごく嬉しそうだった。もしかすると相当深い沼に足を突っ込んでしまったのかもしれない。 「明日は土曜日ね。天気は晴れ。絶好の日和だわ。工藤くんは明日空いてる?」 「明日? 別に何もなかったと思うけど」 「良かった。じゃあ明日から早速計画を始めましょう!」  なんだか盛り上がってきた。一人で。俺との温度差に気付いてくれないかな。 「昼12時に駅前の時計の前に集合でよろしくね」 「はいよー」 「じゃ、帰りましょう。夜が更けると寒くなるわよ」  気付けばもう19時を過ぎようとしていた。窓の外はすっかり夜だ。  園部はノートを鞄にしまい、右手で持つ。トレンチコートを着て、マフラーを巻く。  そうして図書室を出る寸前で、園部は立ち止まった。 「あ、工藤くん。一つ言い忘れてた」  園部はそう言って振り向く。  そして、きらきらの笑顔を見せた。 「入部してくれてありがとう」 「……ああ」  それだけを言って俺は図書室を出た。  温度差が少し縮まったことには気付かれたくなかった。
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