そこまでせんでもよくね?

2/4
131人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「私のカップル駆逐計画をこの雑誌に乗っ取って遂行するわ」 「……はい」  なんだかそのプラン名を聞く度にテンションゲージが一つ下がる気がする。 「工藤くん、お腹は空いてる?」 「ああ、まあ普通に」 「じゃあまずはここね。行くわよ」  そう言って園部は歩き出してしまった。急いで後を追いかける。 「ここね」 「おしゃれな店だな」 「ピザが美味しいらしいわ」  俺たちはピッツェリアの前にいた。  レンガ造り風の壁に赤色の屋根という小洒落た外装。昼時だからか店内はたくさんの人で賑わっている。 「ここで『カップル駆逐計画③ カップルの好きそうなランチを消滅させる』を遂行するわよ。デートのおすすめランチを食べて、欠点を洗い出し、それをSNSに拡散。そうして最終的にはその店を閉店に追い込む計画よ」 「そこまでせんでもよくね?」 「いいえ、やるなら徹底的にやらないと。地球のために」  いや徹底的に根本がおかしいんだよ、と言っても聞く耳を持たないだろうな。 「少し早いけれど入りましょう」  そう言って園部は入り口のドアを開けて入り、店員に自分の名前を伝える。なんと予約を取っていたらしい。どんだけやる気なんだ。 「大丈夫みたいね。融通が利くいいお店だわ」  嬉しそうに園部が言った。  早速計画が頓挫しそうだった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!