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「私のカップル駆逐計画をこの雑誌に乗っ取って遂行するわ」
「……はい」
なんだかそのプラン名を聞く度にテンションゲージが一つ下がる気がする。
「工藤くん、お腹は空いてる?」
「ああ、まあ普通に」
「じゃあまずはここね。行くわよ」
そう言って園部は歩き出してしまった。急いで後を追いかける。
「ここね」
「おしゃれな店だな」
「ピザが美味しいらしいわ」
俺たちはピッツェリアの前にいた。
レンガ造り風の壁に赤色の屋根という小洒落た外装。昼時だからか店内はたくさんの人で賑わっている。
「ここで『カップル駆逐計画③ カップルの好きそうなランチを消滅させる』を遂行するわよ。デートのおすすめランチを食べて、欠点を洗い出し、それをSNSに拡散。そうして最終的にはその店を閉店に追い込む計画よ」
「そこまでせんでもよくね?」
「いいえ、やるなら徹底的にやらないと。地球のために」
いや徹底的に根本がおかしいんだよ、と言っても聞く耳を持たないだろうな。
「少し早いけれど入りましょう」
そう言って園部は入り口のドアを開けて入り、店員に自分の名前を伝える。なんと予約を取っていたらしい。どんだけやる気なんだ。
「大丈夫みたいね。融通が利くいいお店だわ」
嬉しそうに園部が言った。
早速計画が頓挫しそうだった。
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