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そこまでせんでもよくね?
土曜日。
駅前の時計は11:30を指していた。
張り切りすぎたと自分でも思う。まあでも紳士としては女性を待たせるわけにはいかないよな。「お待たせー待った?」「いや、全然待ってないよ。今来たところ」の一度はやってみたいやり取りシリーズの一つも出来そうだし。
「あれ、はやい」
園部が現れた。時刻はまだ11:35。
「やられたわね。『お待たせ、待ったか?』『ええすごく待ったわよ。でも大丈夫。カフェラテで許すわ』の一度はやってみたいやり取りシリーズをやって、カフェラテをねだろうと思ってたのに」
「おいふざけんな」
これが男子と女子の思考回路の差か? いやこんな女子、園部くらいだと信じたい。
「まあいいわ。じゃあ開始を早めましょうか」
そうだ。今日は部活動のために集まったのだ。園部の清楚なコーデの私服を見るためではなかった。よく似合ってる。
「お、おう。でも何をするんだ?」
「そうね、簡単に今日のプランを説明するわね。まずはこれを見て」
そう言って園部は鞄から一冊の雑誌を取り出す。表紙にはカラフルな夜景の写真と『最強のデートスポット厳選50!』という文字が大きく載っていた。いくつか付箋も付けられている。
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