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「あんたどこ行ってたの?」  那央明日香は折原が教室に戻って来た瞬間に問い詰めた。彼とは一年の頃から同じクラスメイトで、意気投合をし良好な関係を築いている。 「遅かったな折原」  那央に続いたのは浅賀諒。折原とは小中高とすべての学校を共にしている幼馴染らしい。二人は腐れ縁だの何だのその関係にいつも悪態をついている。 「悪かったよ。ちょっとトラブルがあってさ」 「トラブル? なにそれ?」  適当にはぐらかそうとしている魂胆が見え見えの折原を見過ごすほど那央は優しくはない。昼休み、三人で駄弁っていたところ喉が乾いたと言った折原がジュースを買いに行くと言い出したので、二人の分もついでに買って来てくれと頼み、折原はそれを了承した。しかしそれを待ち侘びていた彼女と浅賀だが、結局帰って来たのは昼休みの終わりの間際である。しかも頼んだ品はないではないか。確かに何かあったのであろう。でなければ何をしていたというのだ。それを聴き出さなければ納得できない。 「うん、どう説明したもんか。言葉が見付からないというかなんというか」 「何それ?」 「悪かったって那央。ジュースは帰りに奢ってやるからそれで勘弁してくれ」 「当たり前よ」  断固としてそれは譲れない。頼んだものが達成されていない以上、その埋め合わせはしてもらうに決まっている。
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