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「……わかんないの?」
「誕生日プレゼントか何かか? 俺は違うし……あ、クロか。でもあいつは確か――」
「なんでそうなるの! きょ、今日は、っ、バレンタインでしょ!!」
的外れなことを口にする鷲尾に対して、茉莉花は照れたように、しかしやや怒ってもいるようで、激しい口調で紙袋を彼の胸に押し当てた。
「ばれ……、バレンタイン……?」
「そうよ。……けーちゃんと作ったの、昨日!」
フン、とばかりにそっぽを向いてしまったが、鷲尾は茉莉花の手に自分の右手を重ねる。
「えっ」
「? くれるんだろう」
「え、あ、ああ、うん!」
茉莉花は紙袋をはなし、鷲尾はそのまま紙袋を受け取る。
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