あるバレンタインの話

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 ちらり、とのぞきこむとなるほど四角い高級そうな箱に入っている。  作ったということは、この箱も紙袋もどこかで買ってきて包んだということだ。 「……ありがとう」 「う、うん……、…………味は間違いながら! けーちゃんも一緒だったし」 「初めてだ」 「え?」  照れからか、焦って場をつなごうとした茉莉花は、鷲尾の一言でしゃべるのをやめる。  彼女が視線を戻すと彼は紙袋でもその中にあるものでもなく、茉莉花を見ていた。 「こういうの、初めてだ。ありがとう」  途端に茉莉花の顔が真っ赤になる。
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