幸と蘭丸

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「知らなかったけど勉強苦手だったんだね」 「悪かったわね。この高校のレベルが高すぎなのよ」  一応地元では一番の進学校だった。 「あんたは何番?」 「一番だね」  僕はまたにっこりと微笑む。 「科目は?総合で?」 「総合で。科目別でもだいたい一位だけどね」 「天才がこんなところにいるとは」 「天才じゃないよ。勉強してるだけ」  幸の美人がだいなしのしかめっ面に、先ほどの倍の笑顔をお見舞いしてやった。勉強してるだけ、の言葉に嘘はない。実際部活もしていないし、友達もいない僕は勉強するしかなかった。疲れると合間にマンガを読んだりアニメを見たり。そしてまた勉強する。そういう風に体がなっていた。  それほどに勉強しても中学三年生までただの一度も理央に試験で勝ったことはない。そうだな、国語と英語と社会だけならたまに勝ったこともあったかもしれないが。 「大沢優理(ゆうり)って人いる?」
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