第3話 日常

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 ザックは重く、速い攻撃をしてくるが、隙がかなりある。しかしレイは法術で水を空気中から作り出し、遠距離から攻撃してくる上に、剣においてはカウンター型である。剣を交える時は基本的に隙を狙うか、時間を稼ぎ、法術を放つ準備をしてくる。そのため一瞬の隙を見せると、剣か水弾が飛んでくるのだ。ジンはいつも通り、的を定められないように高速で動き回りながら、接近戦を挑むことにした。 『水弾!』 レイが水球を飛ばしてくる。  それはジンの頭の上を通ろうとしている。これはフェイクだと彼は瞬時に判断する。以前にも同じような攻撃があり、その時も的外れだと思ったら、水球が突然形を崩し、ジンの頭に降りかかり、眼を潰されたことがあったのだ。そこで彼は足に力をかけて右側に横飛びする。しかし着地しかけた瞬間にジンの顔に水弾が飛んできた。レイが彼の動きを読んで先手を打っていたのだ。  避けられないと感じたジンは左手の剣一本で顔をかばいながら、右手の剣をレイに向かって投げつけた。ジンは体を後方に吹き飛ばされるが、水弾を飛ばした直後でそちらに意識が向いていたレイは、慌ててしゃがんでそれをなんとか避けようとした。そのせいで一瞬視線がジンから外れてしまう。そのすきに態勢を立て直したジンは、5メートルほどあった距離を一気に縮める。  しかし攻撃しようとした瞬間に後ろに飛ぶことを余儀なくされる。レイはジンが近づいてきたら発動するように、罠としてスパイクのついた水壁を自分の周りに張っていたのだ。そしてジンが攻めあぐねている間に、レイは呼吸を整え、集中力を取り戻し、再度水弾を作り始める。そこでジンは再度距離を取り、相手の攻撃に備えた。そしてレイの水弾が3つ完成し、水壁を解除した瞬間に、一気に突っ込んだ。高速でジグザグに走り、一つ目の水弾を避ける。
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