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第4話 異変の始まり
夕食後眠くなってきたジンはさっさと床についた。そしてしばらくすると、ぐっすりと深い眠りについた。しかし数時間ほどして突然ガバリと勢い良く起き上がった。恐ろしい夢を見たのだ。隣で横になっていたナギはその音で目を覚ましたらしく、眠たげな声で、
「どうしたの?」
「すごく怖い夢を見たんだ」
ナギが手招きしてきたので彼女の毛布に入り込んだ。ナギの体に抱きつきながら、頭を撫でてもらう。怖い夢を見た時はいつもそうしてもらうのだ。そしてこれがザックたちからシスコンと呼ばれる原因の一つでもあった。しばらくすると、だんだんと気分が落ち着いてきたのでポツポツと自分が見た夢をナギに話し始めた。
「家に帰ってきたら、みんなが怪物に食べられてたんだ。俺はそれを見て逃げ出したんだけど、怪物はものすごく早くて、すぐに追いつかれた。それで俺も捕まっちゃうんだけど、そのまま食べられないで、みんなが食べられていた場所に引きずられて連れて行かれて、目玉のない4人の頭がこっちを見てるんだ。それで気が付いたら俺もその中にいて、下から怪物を見上げていると、ゆっくりと目玉を刺したフォークを顔に近づけてようとするんだ。それを嫌がったら今度はスプーンを近づけて目玉をくり抜こうと顔を近づけて来るんだ。それでようやく怪物の顔をしっかりと見たんだけど、それが姉ちゃんだった」
「そっか。怖い夢だったね。でもお姉ちゃんはジンたちが大好きだから食べたりしないよ。そんな怪物がきたらお姉ちゃんがやっつけちゃうから! それにジンたちが私を守って戦ってくれるんでしょ? きっとどんな奴が来ても大丈夫だよ。でも……そんな怖い話を聞いちゃったら、今日はあたしも寝られなくなりそうだから、ジン、一緒に寝てくれる?」
「しかたないなー」
と答えながら、より一層、平らな姉の胸に頭を埋めた。それから他愛のない話をしているうちにだんだん不安が薄れていき、いつの間にか眠ってしまっていた。朝気がつくとナギがジンの頬っぺたをグニグニしたりして遊んでいた。気恥ずかしさを覚えるも彼は姉が楽しそうな様子を見て、寝たふりをすることに決めた。いつもみんなに平等に接して、しっかりしている姉がたまにこんな風に年相応にじゃれてくることが、特別視されていることを感じて彼にとってはとても嬉しかったからだ。
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