女の白い肌。男はゴクリと喉を鳴らす。

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「なんで!?お前!」 さっきまで俺を殺そうと追ってきていた女が 俺の足を掴んでいる。 俺の落ちる勢いに引き摺られ、女も身を大きく 乗り出しており、今にも一緒に落ちそうな具合で ある。 女は自分と俺の体重をギリギリ支えながら苦悶の 表情を浮かべている。 宙吊りになりながら女を見つめる俺の顔を、女は 悲しそうな目で見つめながら、言う。 「どうしてだろう。殺したい程愛しているのに。  愛しているから殺そうとしたのに。  死んで欲しくないよ。こんなに愛しているん  だもの。」 女の、 彼女の、目から溢れる涙が俺の顔に落ちてくる。 ああ・・・しょっぱいな。 彼女は覚悟を決めた顔で、叫ぶ。 「うぁぁああああ!」 彼女はギリギリで保たれたバランスを自ら崩し、勢いよく前へ乗り出す。 ズルリ… 重力に引っ張られ、俺は彼女と共に落ちるのだと 思った。 しかし、彼女は己の身体が落ちる反動を使って、 俺を下の階のベランダへと押し込んだ。 下の階のベランダの地面に倒れ込んだ俺が、ハッと 顔をあげると、今まさに落ちて?いかんとする、 彼女と目が合う。 一瞬だった。 だがその一瞬、確かに彼女は微笑んでいた。 俺が無事である姿を見て、心底ホッとして、 嬉しそうに… 永遠にも感じた一瞬が過ぎ去り、 冷たいコンクリートに叩きつけられる鈍い音を 聞いた。 俺は呆然と座り尽くす。 ・・・・・あ。あああ。 状況についていけずにいた脳が動き出す。 早く、早く・・・。 俺は解放されたのだ。 この場から早く逃げなくては・・・。 ・・・そう思う心と同時に、 早く彼女を助けに行かなくては・・・ そんなトンチンカンな考えで脳みそが満たされる。
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