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貰ってくんないかなぁ…? あっ、無理にとは言わないから。」
内山先輩は、直径15cmくらいの、丸くて赤い紙箱を、俺の前
に両手で差し出した。
「内山先輩…。こ、これは一体?」
俺は、丸い赤い紙箱の正体が分からず、内山先輩に質問した。
内山先輩は、照れ臭そうに、女優の桐谷美玲似の可愛い顔を
俯き気味にした姿勢で、
「チ、チョコ…だよ。 バレンタインデーの…。一応、生まれて
初めての手作りチョコ…。 あげるよ! 晶人に。」
内山先輩の俺に差し出した両手が、僅かに震えていた…。
「ぼ、僕にですか? しかし、僕には、内山先輩から、手作り
チョコを貰う理由がありませんよ…。」
俺は、あまりに突然の、バレンタインデーチョコ、それも、
『初恋』のお相手、『内山 月菜』先輩が、生まれて初めて
作った『手作りチョコ』…。戸惑いを隠せず…、つい、内山先輩
に理由を聞いてしまった…。
理由なぞ、要らないはずなのに…。
内山先輩は、少し考え込み、辿々(たどたど)しく、
「り、理由かぁ…。う~ん…。え、えっと…ね。 そ、その~
何て言うか…、そうだ! 晶人が『剣道部頑張ってる賞』の
あたしからの、バレンタインデーの手作りチョコだよ。
理由には…ならないかな?」
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