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内山先輩は、全速力ダッシュした時の汗を、淡いブルーの花柄のハンカチで拭きながら、無理くり理由を返答した。
俺は、内山先輩が健気に理由を考え込む姿や表情に、先輩が
当然、2つ年上なのに、自分のクラスメートをクラスで、眺めているような錯覚に陥った。
こんな可愛いクラスメートが隣の席に居たら、俺の高校生活も『薔薇色』だったかも。など妄想した…。
そして、内山先輩が俺に差し出している僅かに震えている両手に俺は、自分の両手を添えた。
「内山先輩、バレンタインデーチョコ、ありがとうござい
ます。 有り難く、喜んで頂戴致します。」
内山先輩から、手作りチョコ入りの丸くて赤い紙箱を受け取
った。
内山先輩も、やっと安心した表情を見せて
「晶人、ありがと。安心したぞ! 初めての手作りチョコだか
らね…。 形はあまり期待しない事。 わかったぁ?」
内山先輩が先輩らしい口調に戻った。
俺は、内山先輩の許可を得て、丸くて赤い紙箱の蓋を開けた。
すると、手作り感のある、やや歪な『トリュフチョコ』が、
8~10個、ピュアココアパウダーでコーティングされて、
丸い紙箱に沿うように並んで入っていた。
俺は、そのトリュフチョコを1個、自分の口に運んだ。
「先輩、手作りチョコ、むちゃくちゃ旨いです。自分、16
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