笹の葉舟

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笹の葉舟

決断とか勇気とか、ここぞって所を逃してしまうと、 本当に流れるだけの人生となります。 それは、幸せである事の裏返しなのでしょうね。 食うに困らず、暇に潰されず、病を負わず、人に囲まれて。 だけど、たった一人、掴めなかったもの、でしょうか。 たゆたって たゆたって たゆたって 笹の葉舟の行き着くとこは たゆたって たゆたって たゆたって 行き先知れず舳先も知れず たゆたって たゆたって たゆたって 流れて落ちて沈んで浮いて たゆたって たゆたって たゆたって 桃源郷も余目に過ぎて たゆたって たゆたって たゆたって いつか藻屑の供となる あなたに結んでいただいて ほどかず私は流れ行く たゆたって たゆたって たゆたって 夢見た彼方の山里の 梅の香恋し笹舟の 海の藻屑の流れ着く 浜辺の砂の埋もりに まだ たゆたって たゆたって
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