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錆付いて、腐る
纏わり付くような言葉の数々に侵された。
心を守る鍍金の鎧が、腐り果てて既に役割を果たさなくなっている。
剥き出しになったその柔らかい部分が、傷付く。
治るよりも早く、痛みが引くよりも早く、新しく増え続けるそれらから逃げた。
逃げた。
逃げ出した。
誰も居ない静かな場所に向かって。
逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて、逃げて逃げた逃げ出した。
捨て去り投げ出し置き去りにして立ち去った現実からの逃避。
あの場所は気持ちが悪いから、居るだけで息が詰まりそうだから。それはきっと、彼処は居場所では無いから。
どうでもいいと打ち捨てられる、不良品の山々。
そこに射し込む一筋の希望の光は、僅かな望みに縋る愚か者達を嘲笑う為に存在するのだと気付いた。
そんな醜いと思っていた光景でさえも、今では美しく見えてしまう。
醜いと感じるのは美しさを知っているから。
戻ることは出来ない。
逃げてきた理由を否定することになるから。
残された僕の欠片が山となっている。
このまま忘れ去られるなら本望だ。
誰も知らない静かな場所で眠りたい。
きっと其処は、とても美しい筈だから。
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